【整形外科医監修】年末の大掃除で「ぎっくり腰」を防ぐ！骨折リスクを下げる環境づくりと食事法

こんにちは。整形外科医の金井です。

 

カレンダーも12月の中旬に差し掛かりました。街の雰囲気も慌ただしくなり、そろそろ年末の「大掃除」やお正月の準備が気になり始める頃ではないでしょうか。

 

寒さが厳しくなるこの時期、億劫になりがちな体を動かして掃除に取り組もうとするその意欲、素晴らしいですね。私は「骨活ドクター」として、皆さんのその前向きな姿勢を全力で応援します！

 

しかし、寒い時期の慣れない作業には危険も潜んでいます。

 

今回は、大掃除シーズンに多発する**「腰痛・ぎっくり腰」を防ぐ体の使い方**と、**転倒骨折を防ぐための「環境の骨活」**について、医学的な視点から解説します。

 

【大掃除は「危険な重労働」？腰への負担は体重の2.5倍】

掃除や片付けは、全身を使う素晴らしい運動の側面を持っています。しかし、段ボールや家具、新聞の束など「重い物」を持つ場面では、細心の注意が必要です。

 

診察室でも、年末になると「掃除中に重いものを持ち上げようとして腰を痛めた」という患者様が増加します。その最大の原因は**「姿勢」**にあります。

 

 

●絶対に避けるべき「膝を伸ばしたままの前かがみ」

床にある荷物を持ち上げる際、膝を伸ばしたまま腰だけを曲げて（前屈状態で）持ち上げていませんか？ 実はこの姿勢、腰椎（腰の骨）には体重の約2.5倍もの負荷がかかると言われています。

 

例えば、体重60kgの方であれば、何も持っていなくても腰を曲げるだけで約150kg相当の圧力が腰の椎間板にかかっている計算になります。

 

そこに荷物の重さが加われば、腰へのダメージは計り知れません。これが、魔女の一撃とも呼ばれる「ぎっくり腰」や、椎間板ヘルニアの引き金となります。

 

 

●正しい持ち上げ方は「パワーポジション」で

ご自身の体を守るために、以下の手順を徹底してください。

 

1．荷物の正面に立ち、足幅を広げる。

2．膝をしっかりと曲げ、腰を深く落とす（スクワットの姿勢）。

3．荷物を体にできるだけ近づけて持つ。

4．背筋を伸ばしたまま、太ももとお尻の力を使って立ち上がる。

 

「腰」ではなく「脚の力」を使うことが、腰痛回避の鉄則です。

 

 

【今日の骨活トリビア】：骨折予防の第一歩は「整理整頓」

骨粗鬆症や骨折の予防と聞くと、カルシウムの摂取や運動ばかりをイメージしがちですが、実は**「家の中の整理整頓」**も立派な骨活の一つです。

 

高齢者の転倒事故の多くは、実は住み慣れた「家の中」で起きています。 特に転倒の原因として上位に挙がるのが、以下の2点です。

 

1．床に無造作に置かれた新聞紙やチラシ（滑って転倒）

2．家電製品の延長コードやカーペットの縁（つまずいて転倒）

 

「床に物を置かないこと」 たったこれだけのことが、転倒リスクを劇的に減らす**「環境の骨活」**になります。

 

年末の片付けは、単に部屋をきれいにするだけでなく、将来の骨折事故を防ぐための「安全地帯作り」だと考えてみてください。

 

 

【今日の一日一骨】掃除中のスクワットと筋肉ごはん

本日の「骨活」提案です。 大掃除をトレーニングに変え、動いた後はしっかりと栄養補給を行いましょう。

 

1. 片付けの合間に「スクワット」

床の物を拾う時、雑巾がけをする時、先ほどお伝えした「膝を曲げて腰を落とす動作」を意識してください。

これはそのまま、太ももの筋肉（大腿四頭筋）と骨を刺激するスクワットになります。 掃除をしながら下半身の筋力を強化できる、一石二鳥のトレーニングです。

 

2. コツコツグルメ：鶏肉ときくらげの中華風あんかけ

労働の後は、良質な栄養で体をいたわりましょう。おすすめのメニューは**「鶏肉ときくらげの中華風あんかけ」**です。

 

・鶏肉： 筋肉の材料となる良質なタンパク質が豊富です。

・きくらげ： 実は食材の中でもトップクラスの「ビタミンD」含有量を誇ります。ビタミンDは、カルシウムの吸収を助け、骨を強くするために不可欠な栄養素です。

 

筋肉は、腰や骨を守る**「天然のコルセット」**です。 掃除で刺激を入れた筋肉に、鶏肉のタンパク質を届け、きくらげで骨をケアする。このサイクルが、長く動ける体を作ります。

 

寒さに負けず、安全な動作で部屋も体も整えていきましょう。

 

 

今日もコツコツ、骨活を頑張りましょう！

 

 

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